「大きな城を前にして」作曲に当たってのレポート byヤマジン
◎完成データのみ見たい人は一番下へどうぞ。
今回、初めてまともな曲が完成しました。
特徴は、
「最後まで聞いても発狂しない」
「友達に聞かせても絶交にならない」
「ジャングルでならしたら回りは猛獣の輪」
などなど、今までの不協音列を大きく上回るものとなりました。
完成までには色々な困難がありましたが、今となっては良い思いでです。(もう終りそうだな)
簡単にではありますが、そのステップをひとつつづ紹介して行こうと思います。
♪マークがついたものは、音声を聞くことができます。
MP3なので少し重いです。
1 作曲家開始
A子先生の音楽教室に通い始めて早3ヶ月、作りかけた1曲目は見事に挫折し(先が繋がらなかった)
ああもうだめだいっしょうきょくなんかつくれやしないおとなになってもぴあのはただのものおきでちょびっとさわってみればかぞくぜんいんあわふいてたおれ るじごくのおんがくかといわれてしまうああああああもうだめだぁぁああああどうしようもないはあっははははもういいもういいよおれはけんにいきるけんだよ まほうだよやっぱげーむはおもしれーなそうだげーむをつくろうってそんなじかんねーよでもでもでもでもでも
ってな状態でした。(身内のものの説明による)
しかし何とか一曲完成させねばと思い暇を見つけてはピアノ、パソコンに向かいモチーフ出しに励むのでした。
そこでこの曲の始まりとなった第一動機。
これがピアノ中に出てきました。
♪第一モチーフ
「なんだよ、みじけーな 。しょべー」
ちょいちょいそこの君、黙れとは言わないが口を十字に結んで下を向きなさい。
これがピアノでしみじみ聞くと結構いけるのよ。
五線にメモった当時のイメージは「悲痛な叫び」。
叫びというか心の中の助けを求める声というか。
「タララララー」
ああ悲しい。もの悲しい。
そのほかにもたくさんモチーフは作ったのでレッスンで判定。
先生はどれでも良いというが初心者には難しい選択でござるよ・・・
結局一番耳についてたこれを選択!
これから3ヶ月にわたっての死闘へと飛び込んでいくのでした。
2 つまった
モチーフができたので、プリントミュージックというソフトを使って続きを練っていきます。
繰り返しをつけて2ループ目の後ろをちょびっとかえる。
んで下の楽譜のようになる。
♪第二段階 (このデータはもう少し後のものですが、↑の部分は変わってません。)
むんむん、なかなかええのではないか?とピアノでこればっかりやってました。
いかにもこれから何か始まりそうだ。
悲痛な叫びはもうどこにも無い。(パソコンでデータにした時点で曲名は「大きな城を前にして」でした)
さて、続き行こう!夢と冒険にあふれたファンタジーの始まりだ!
つまった(早っ)
先が作れん。
だってさ、「ちゃーらーららららー」って曲終ってんじゃん。
歌詞つけたら「そんでは さよなら また来週」だよ。(2ループ目)
むむぅ。
結局何もできないままレッスンへ。
先生が言うには終りのベース音を変えて、ルートのコードでないものへ持っていけば
自然と次が出てくるらしい。
しっかし散々引き込んだ4小節のメロディーは頭から離れず、
色々やってみても全部不協和音にきこえる。というより曲として繋がっているような気がしない。
先生が弾くとイケそうに聞こえるが家でやってみるとさっぱり。
しかたなく、先生の助言どおりの和音を組んで次へ。
♪ピアノアレンジ続き
3回繰り返し、3回目の最後は先生の和音で不気味に幕を閉じる。
次はいきなりメロディーの予定だったが、その前に何かはさんだ方が良いそうなので、作った。
モチーフを低音部で繰り返させ、高音部では次にくるメロディー(これはもうできていた)を何か駆り立てるような
背筋をなめられるような雰囲気で流した。
二つのモチーフは絡み合い、第一の頂点へ。
その後第一のメロディーへと繋がります。
これを作るのにおよそ3時間。ピアノの単音データに何やってるんだか。
でも後々これが成功と思えるようになるのね・・・
ー現在の展開ー
モチーフ1−モチーフ1−モチーフ1−間奏ーAメロ
3 進む進む
この辺でモチーフ発案からおよそ1ヶ月。アリさんレベルの作業スピードですね。
しかし、ここで自分的に大当たりのメロディーに出会いました。
(実はAメロより先にこれができていて、この部分に繋がるようにAメロを作りました。)
このメロディーはひとつ上の♪ピアノアレンジ続き の後半に当たります。
で、
♪ここで簡易オーケストレーションしたやつ。
ええやろええやろ?(なぜ大阪弁)
かっこいいよ、これ。ピアノの淡白データの時点でかっこよかった。
いやあよかばいよかばい(こんどは九州ですか)
この後最初モチーフに戻り、ちょっと曲っぽくなりました。
先生が言うには、モチーフ1に戻る前に「終った」という雰囲気になってしまうので
あまりよろしくないということでしたが、そんなのお構いなし!
サビでどどっと盛り上がって頂点、そしてあのメロディーへ・・・
いいです。大変いいです。
んでここまで一気に切り貼りオーケストレーション。
ここではCubase(キューベース)というプロ御用の高級ソフトを使います。
手抜き上等だが雰囲気を味わうにはなかなかよろし!
♪オーケストレーション!何回でも聞いてくれ
うんうん、曲になりそうな気がしてきたよ。
学校の行き帰り自転車では鼻歌フンフン。(サビのとこ)
いやあ、ノリ過ぎだったなあ。
ー現在の展開ー
モチーフ1−モチーフ1−モチーフ1−■ー間奏ーAメローBメロ(サビ)ーモチーフ1ーモチーフ1
(■は音が無くなる所)
4 停滞期、そして完成へ
7月も終わりに近づき、夏休みに突入しました。
補修だらけで前々休みっぽい雰囲気はありませんでしたが。
おまけに吹奏楽部が一日練習を連発して、ぐったり夜はすぐに寝てしまいます。
おかげで西尾張大会トップで通過、5年ぶりに県大会へとコマを進めました。
で、レッスンのほうは「先に進んだら連絡」ということにしてお盆休みに突入。
「作曲やらなきゃなあ・・・」
一週間経過。
「そろそろ宿題が・・・」
2週間経過。
「マジで宿題やんないと・・・」
3週間間近。
携帯。
『レッスンはよいのかな^^;』
「^^;」(まだ?)
「^^;」(やる気あるの?)
「^^;」(えーかげんにせーよ?)
ああああ、遂にきてしまいましたよ。
めったに押さないA子先生から催促が来てしまいました。(ありがたいことです。)
実はちょびちょび作業は進めてあったので、あとは肉付けをするだけでよかったのですが、
なかなかそれがふんぎれずに(結構精力の要る作業なのです)何週間もとまってました。
これはいかん!という事でメールをバネにして一気に作る!
案外こういう時って進むものです。
モチーフ1に戻った後、またモチーフの変形でメロディーを作っていきます。
ここは静かに木管楽器を絡ませ、だんだん編成が大きくなっていくようにしました。
♪夏休み終盤
早速メールに添付して送り、真夜中にチャットでアドバイスを頂きます。
ご迷惑をおかけしました。
追加で書いた部分はなかなか好評でした。(嬉しかった)
指摘部分をちょちょいと直し、レッスンへ。
次への繋がりが無理やり過ぎたのでアドバイスをもらい、つなげ方を変更。
(見せたいけど、データが残ってないです。)
このあたりで3分超。
なんだか完成が見えてきて嬉しかったのか、一気に制作意欲がわきラストまでまっしぐら!
本当に最後まで作ってしまいました。
ピアノの元データを作るなどまどろっこしいことはせず、直接オーケストラの楽器にリアルタイム録音して
ガンガン曲を進めていきます。
どうやって終るのか迷ったけどここもまた和音のアドバイスで何とか完結。
いやいや、長かった。
想像していたよりかなり長く、4分半。
すげえ、まさか本当に完成するとは思わなかった・・・
ー構成ー
モチーフ1−モチーフ1−モチーフ1−■ー間奏ーAメローBメローモチーフ1ーモチーフ1
木管ソロの絡み(モチーフ1より)ー編成が拡大していくー■ーTuttiーモチーフ1−モチーフ1−エンドへ
5 アレンジャー・ヤマジン
さて、いよいよ曲の形を決定するアレンジ作業です。
大変な作業にもかかわらず、気分が乗っていたため約4日で終わりました。(ただし一日5〜6時間かけますが)
いやあ、学校の予習が適当になったら授業が分からんこと。
これはマズイですね。
普段はパソコンの横にある安物JBLのスピーカー(有名なメーカーですよ)でモニターしてますが、
音を大きくするとどうしても割れてしまうので部屋のオーディオセットに接続することに。
部屋の空中を横切るコードが2本3本。
「ごはんですよー」といわれて走れば部屋が崩れます。
そんな甲斐あって思っていたよりしっかりした音で作業ができました。
やっぱりモニタースピーカは必要ね。
アレンジはかなり大胆にやりました。
今までは1PORT(16チャンネル)で作っていたのですが、初めて2PORT(32チャンネル)
まで編成を広げました。
↓編集中
1Portはストリングス専用。
ひとつのパン(左右のバランスの位置)に固めの音、柔らかめの音、トレモロなど3種類の音をあたえ、
曲想によって使い分けるようにしました。
3×3(1・2stヴァイオリン、ビオラに対して各三音色)+コントラバス(ベース)で10チャンネルも使いました。
2Portはその他木管金管。
トランペットやホルンなど、吹き方によって大きく音色の変わる楽器はそれぞれに別チャンネルを当て、
音色・ボリュームなどの設定を行いました。
苦労した甲斐あって結構いい感じ。
リビングのオーディオで聞いたらかなりええ感じ。
これは嬉しかったなあ・・・
完成してからもレッスンまでは微調整を欠かしません。
朝・昼・晩と聞きなおし、少しでも気に入らない部分は手直しを加えていきます。
もうどの楽器が何やっているかとか完全に暗記ですね。
6 録音
先生にもOKをもらい、遂にアレンジまで完成。
家にある機材では力不足のためレッスンで録音することに。
いろいろあって大変でしたが、何とかリバーブをかけてそれらしく仕上がりました。
♪大きな城を前にして 完全版
ぜひダウンロードしてお聞きください。
さて、いかがだったでしょうか。
これが曲を完成させるためのステップです。
苦労話ですな。はは。
でも曲を作り終わってからピアノでアドリブ弾きしてみたら、作曲前よりかなり先が続くようになっていました。
曲を作るときの試行錯誤がずいぶん生きているようです。よかったよかった。
それに加えモチーフもあふれんばかりに出てきます。
ああ、次の曲が早く作りたい・・・・
曲の完成は次への制作意欲へと繋がっていくのですね。
はよテスト終ってくれい。まったく手がつかん。
と、言うことで僕のレポートはこれで終わりです。
ここまで読んでくれた人、ありがとうね。
一言感想でもいただけると大変嬉しいので、ぜひぜひよろしくです。
ヤマジンへのメール(yamazin@iiwa.net)
もちろんMusicSpace様の掲示板に書いてくださっても結構です。
後、こちらのサイトにデータを載せてあるので、こちらもよかったらどうぞ。(解説つき)
それでは、また次の曲の製作に取り掛かります。
ああ、音楽ってすばらしい!
2003年10月26日 完成から数週間たって