音楽教室 MUSIC SPACE  > おやじマラカスのベビーマラカス > 幸福の鈴


2002年2月
4歳の愛くるしいばかりの女の子がお星様になりました。
難病と闘いながら、それさえも感じさせないくらい、むしろ見ていてこちらまで明るく元気になってしまうと言うくらいの素敵な子でした。。私がその子にこの鈴をプレゼントしようと手に入れた時、既に彼女は自分の意志を伝えられるだけの意識がそこに無いと診断されてしまった後でした。。
お見舞いの日。。衛生面を考えてお母さんに「これをKちゃんに。。。」と、その莢を3つだけ渡して帰りました。。

きっと目をさますよ。。
教室の子ども達にとっても重大な出来事でした。。
知らせを聞き数人の子ども達でお見舞いに。。騒がしくするわけにもいきませんし、病院に小さな子どもが行くというのは心配な面もありましたので、大勢で行くのは控える事にしました。。
子ども達にとってそこにあったKちゃんの姿はとてもショックだったようです。。
「眠っているように見えるだけ。みんなで歌えばきっと歌いたくなっちゃって目をさますよ!?」
子ども達は連絡を取り合って教室に集まり「先生手伝って!」と。。
Kちゃんに届くようにと本当に一生懸命歌う子ども達の心は一つに。。
今までに出会った事がないほどの素敵な歌声でした。。

Kちゃんはきっと歌っていた
本当は枕元に行きみんなで歌いたかったのですが、録音したモノを届ける事に。。
お母さんからのお話。。Kちゃんの容体が思わしくない状態になった時のこと。。
子ども達の歌が聞こえるのか不思議に心拍が上がったそうです。。
一日中歌っているくらい歌う事が大好きだったKちゃんでしたから、きっと嬉しくて歌いたくて、それで心拍が上がったのかもしれません。。

きっと聞こえるよ
お別れの日。。
子ども達は思わず口々に歌い始めました。。
きっと聞こえるよ。。
お星様になっても一緒に歌っているよ。。
見送りの瞬間まで子ども達はずっと歌っていました。。

枕元には
Kちゃんが眠る枕元に山のように幸福の鈴がありました。。
あの日プレゼントした幸福の鈴。。
一つははぜてしまったそうですが、一つはKちゃんと一緒に。。
そしてもう一つはお母さんとお父さんに。。
2001年の夏
その夏、親戚に遊びにいった私は、大好きな叔母さんから面白いモノを見せてもらいました。。
「ベビーマラカスって言うんだけれどね。中にある種の形がハート型で。ね?良いでしょう♪」
庭に青々とふくらんだその実はまだ「マラカス」にはなっていませんでした。。

なんて素敵な音♪
昨年の収穫したそれを見せてもらい耳元でならした時、一番にKちゃんの事を思い出しました。。
生まれつき視覚障害のあったKちゃんは教室にあるシェイカーが気に入ってお家に持って帰ってしまったりするくらいでしたから、音を聞くだけできっと喜ぶに違いないと。。

お土産
私は、庭の実がマラカスになったら少し分けてもらいたいとお願いしました。。
そしてその日ちゃっかりフィルムケースに乾燥した一莢をお土産でいただいて、帰ってきました。。
(上の写真がその時の一莢。まだ大事にとってあったり。。)
2002年の発表会にみんなに一莢ずつプレゼントできるといいな・・・と、その一莢を眺めながらあの青い実がマラカスになる日を待ちました。。


「友達になるために」
本当なら一緒に楽しむはずだった発表会でした。。
テーマは「幸福の鈴」。。
莢の中にいっぱいハートが詰まっていてそのハートからまた沢山のハートが。。
子ども達は一緒に歌うはずだったKちゃんの写真とあの歌を歌いました。。

Kちゃんの実
子ども達にプレゼントするには少し足らないくらいのその実を「みんなに分けてあげられるくらい実るといいね。。と」数名の子ども達にたくし2003年の発表会の日を迎える事に。。
シャラシャラ・・・・・とハートが奏でる幸せを沢山の人に。。
歌うのが大好きなKちゃんはみんなを明るく幸せな気持ちになってしまう不思議な力のある子でしたから、その実が奏でる音はKちゃんの歌声となってきっと元気で明るい気持ちになると。。

きっと沢山のハートでいっぱいになりますように。。
A子

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